英国の鉄道の評判はあまり芳しくない。今年の夏に野党である自由民主党が行った調査では,運賃10ポンド(約1900円)当たりの移動距離は,英国が41.69 マイル(約66 km)でヨーロッパ17カ国の中で最も短かった。つづいて,ノルウェー(43.96 マイル),スイス(46.17 マイル)が高いそうだ。同じ運賃で,スペインは約3倍以上,イタリアでは4倍以上移動できるそうだ。

英国の鉄道運賃は,1997年にブレア政権(労働党)が誕生して以来上昇し続け,この6年間で8% も値上げされた。さらに,来年(2004年)1月から3.5%の値上げを行う方針を発表している。その一方で,列車の遅れ,運休は日常茶飯事であり,事故 も多い。そのため,レールの点検,修理をしょっちゅう行っており,それによってまた,運休が増加している。

また,英国の鉄道運賃はとてもわかりにくい。1等と2等の片道(single),往復(return) のほかに,cheap day return, saver return, super saver, …など,さまざまな種類の切符があり,切符を売っている駅員が全部理解しているかどうか,つねづね怪しいと思っている。

さて,最初に述べた野党の調査は,政府に対抗するための調査であるので,たぶん正規運賃で比較して いるものと思われる。英国で正規運賃を払うと非常に高いが,cheap day return などさまざまな割引切符が発売されているので,ほとんどの人はそれらを有効に活用している。そのなかで,“Family Railcard” という家族用の割引カードがある。これは大人2名(大人4名まで利用できる)と子供(5歳から15歳を子供という)数名からなる家族のための割引カードで,1年間有効で値段は£20(約3800円)である。これをもっていると,家族全員で旅行するとき,30%くらいの割引をしてもらえるので,我が家では 大変重宝している。

ケンブリッジ~ロンドン間は約60マイル(約96 km)で,ノンストップの列車に乗れば45分(そうでなくても1時間以内につく)の距離である。ロンドンへ遊びに行くときには,London Day Travel Card というロンドンまでの往復とロンドンでの地下鉄乗り放題(ある範囲に限られるが)がセットになっている切符があるので,それを買うが,家族4人で £30くらいである。これも曜日などによって値段が違うので,多少の上下はあるが,6000円くらいで家族全員ロンドン往復できるのは,大変助かる。

私の日本での住まいがある宇都宮から東京まで行くことを考えよう。宇都宮~東京間は約100 kmなので,ケンブリッジ~ロンドン間とほぼ同距離である。家族4人で東京に行こうとしてJRの快速電車に乗ると,宇都宮~上野が約1時間40分で,運賃 は家族全員で1万円以上かかってしまう。ちょっと贅沢をして新幹線で行こうとすると,大人1人だけで往復9000円くらいかかってしまう(なお,特殊な場 合を除いて,英国には特急料金は存在しない)。このため,我が家では家族全員で東京に行く場合には,車を利用することになる。

このように,Family Railcard を利用すれば,英国の方が日本より運賃はかなり安く済む。日本のJR各社の場合,子ども連れの家族に対するサービスがちょっと薄いように 思える。特に,新幹線を使って家族旅行をしようと思うと,旅費だけで大変なことになってしまう。

今年の夏にオランダに出張したときに驚いたことは,子どもは1等に乗っても2等に乗っても,どれだ け長く乗っても,1ユーロ(なんと130円!)しかかからないことだった。これは “Railrunner” と呼ばれる子供用の切符で,「これをください」とわざわざ言わなくても,窓口で「大人2枚,子ども2枚」と言ったら,この切符を渡してくれた。なお,アム ステルダムのスキポール空港からロッテルダムまでインターシティー(特急電車)で約40分であったが,家族4人で1等に乗って,片道30ユーロ(約 4000円)だった。

子どもは(特に,男の子は)電車が大好きである。両親と一緒に電車に乗ることをとても楽しみにして いる。しかし,日本の新幹線のように料金が高いと,気軽に鉄道で家族旅行することは難しい。日本では10月に東海道新幹線に品川駅が誕生し,新幹線が便利 になったようだが,ビジネスマンの利便性のみが強調されているように思われる。たぶん,現在でも JR 各社は,子ども連れの家族のためのサービスを行ってい るだろう。たしか,JR 東日本では「子ども土日切符」というのがあって,期間限定で,2000円,あるいは4000円だったかもしれないが,で土日にJR 東日本の新幹線乗り放題できたような気がする。ただし,前日までに購入しなければいけなかった。しかしながら,これまで以上に家族向けのいろいろなサービ スを充実していってもらいたい。なぜならば,JR 各社にとって子どもは将来の大切なお客様なのだから。

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