私はテレビが大好きなので,英国でも大晦日には紅白歌合戦を見たいと思っていた。日本では,ほとんど毎年,紅白を見ており,低迷する紅白の視聴率に貢献していた。また,以前から家族全員でロンドンのホテルで正月を迎えようと考えていた。日本からだとロンドンまで家族全員で航空券だけで数十万円かかってしまうが,ケンブリッジからだと往復34ポンド(約7000円)の電車代だけで済む。

さて,英国には日本語情報誌がいくつかあるが,その中でも「週間ジャーニー」は最も発行部数が多いものの一つだろう。日本の出来事(通常のニュースや芸能ニュースなど),英国での出来事,英国のテレビ番組のテレビガイドなどなど,情報が満載されている。このケンブリッジだよりのネタのいくつかは,この週間ジャーニーを参考にさせてもらった。週間ジャーニーには,いろいろな旅行代理店の広告も多数掲載されている。ヨーロッパ各地への航空券,ホテルなど,驚くほど安い値段で購入することができる。年末が近づくと,JSTV (日本語衛星放送テレビ) を見ることのできるホテルというのも,セールスポイントの一つになっていった。私のように年末年始には,日本のテレビを見たいという英国在住の日本人がたくさん(?)いるのだろう。私は日系の旅行代理店に電話した。もちろん日本語でホテルを予約できるので,私のように英語に自信がない人にも安心だ。その結果,Hilton London Kensington Hotel には JSTV が付いていることがわかり,12月30日から二泊三日でこのホテルを予約した。

大晦日,午前中は科学博物館に行き,昼食はお得意のロンドン三越でとった。定食に4ポンドを追加すると,年越しわんこそばが付いてきた。英国在住の人たちと日本からの観光客で三越は賑わっていた。そして,午後は近くのJapan Centreを覗いて,早々にホテルに戻った。

英国と日本とは時差が9時間あるので,日本で紅白が放送されている時間帯はこちらでは大晦日のお昼ころに当たるが,そのあたりは JSTV もちゃんと考えており,こちらでも夕方の6時半から約4時間,紅白歌合戦が放送された。夏にオランダのロッテルダムで泊まったヒルトンホテル以来4ヶ月ぶりの JSTV だったので,家族全員気合を入れて紅白歌合戦を見たが,第一部はとてもつまらなかった。谷村新司には「いい日旅立ち・西へ」ではなく,山口百恵が歌ったオリジナルの「いい日旅立ち」を歌ってほしかった。そうすれば,第二部で藤あや子が歌った「曼珠沙華」(まんじゅしゃか:これも山口百恵のLPタイトルになっていた名曲の一つ)のように,いっしょに口ずさむことができたのに。第二部に入ってからは,ゆずの「夏色など・・・」,一青ようの「もらい泣き」,平井堅と坂本九の「見上げてごらん夜の星を」,森山良子,BEGIN,夏川りみの「涙そうそう」など,よい曲を聴くことができた。何曲かは知らない歌があったが,ほとんど昔の曲か,それをリメークしたものだったので,3月から日本を不在にしていたディスアドバンテージは感じなかった。音楽業界も相変わらず苦しそうだ。オオトリは SMAP の「世界に一つだけの花」だった。この曲は,われわれが英国に来る前から流行っていて子供たちが好きだったので,CD を持参してきたほどだ。この曲の存在感が圧倒的で,審査結果は白組のスコンク勝ちだった。紅白好きの私でもこんな大差の勝負を見たのは初めてだった。

今回の紅白でほっとした点は,南極からの生中継が入ったことだ。紅白といったら南極越冬隊だ。「トオクナンキョクカラ シログミノショウリヲ イノッテイマス」といった電報の紹介がないと,紅白だという感じがしない。その一方で大きな変化は,会場審査の方法が,爆笑オンエアバトルの方式を取り入れ,ピンポンだまのようなものをカウントする方式に変わったことだ。これまで双眼鏡片手に票を読んでいた日本野鳥の会,そしてその後を受け継いだ麻布大学野鳥研究部はどうするのだろうか? これからは,「あなたも紅白歌合戦に出場できる」といって新入部員を勧誘できなくなってしまうだろう。

紅白が終わると,JSTV では 「NHKの行く年来る年」 が放送された。11時45分を過ぎると,ホテルの外が騒々しくなってきた。花火 (fireworks) の音があちこちから響いてきて,部屋の窓からも花火を見ることができた。以前も書いたが,英国では花火は夏の風物詩ではなく,秋から冬にかけての風物詩のようだ。11時55分からは BBC テレビでロンドンのビッグベンから生中継の画面が映し出された。ビックベンが12時を告げ新年になると,テムズ川対岸のロンドンアイ周辺で花火がたくさん打ち上げられた。

紅白歌合戦は恒例の「蛍の光」で幕を閉じたが,BBCテレビが新年になって最初に放送した歌は,Auld Lang Syne (久しき昔,蛍の光)だった。しかし,ロンドンからの生中継は約15分で終わり,あとはスタジオからバンドのライブ演奏が続いた。予想はしていたが,元旦は英国では単なる休日の一つにすぎなかった。

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