ディジタル信号処理の基本である「サンプリング定理」は1949年に米国ベル研のシャノンと電電公社(現NTT)の染谷によって独立に提案された。染谷は「波形傳送」という本の中でこの定理を発表した。


拙著「MATLABによるディジタル信号とシステム」(東京電機大学出版局,2002)のp.130のコラムでサンプリング定理誕生のエピソードを紹介した。この本の読者から,「染谷勲著:波形傳送」が突然送られてきた。送っていただいた方は電電公社に勤務されていた技術者で,退職後,この貴重な本をどこかに寄贈しようと思っていたところ,私の本を読んで慶應義塾大学 足立研究室に寄贈することに決めたとのことであった。昭和24年10月5日初版発行で定価は参百九拾円也と書いてあった。はっきりとはわからないが当時の390円は現在では数万円に値するのではないだろうか? 奥付には「染谷」という著者検印が押してあった。

寄贈していただいた方に感謝いたします。たいへんありがとうございました。