l1120410-1024x768文京区本郷1-35-28-303(メゾンドール本郷3階303号室)に36年間,居を構えていた計測自動制御学会(SICE)事務局が引っ越すことになりました。

「婦系図」に「真砂町の先生」が登場しますが,いま SICE はその本郷の真砂坂上の近くにあります。

SICE が本郷に移転したのは1980年5月だそうです。私が大学4年生になったばかりで,制御の研究室に入った頃です。

調べてみると,私は1981年3月(学部を卒業するころ)に SICEの学生会員になっています。

毎月送られてくる学会誌をワクワクしながら待っていたものです。当時は,学会の講演会やシンポジウムのプログラムは学会誌にしか載っていなかったですし,さまざまな専門的な情報を学会誌から得ることができました。私は学会費は,この会誌の購入代だと考えていました。

時代は変わり,現在では,講演プログラムは web で容易にチェックできますし,学会誌よりも最先端な情報も web 上に満ち溢れています。ただ,その情報が,学会というある種の権威をもったものに裏打ちされているかどうかが,本当は重要なのですが,web 上ではすべての情報が平等に扱われているように見えます。この情報を受け取る側に判断が委ねられているのでしょう。

他にもいろいろな要因がありますが,このような時代に,学会の会員になる(自腹で年間1万円程度を支出する)motivation は低くなっています。1990 年代には 10,000 人近くまで増えた SICE 会員も,現在は 5,000 人を切っています。これから先,SICE のような中堅学会はどのように生き残っていくのでしょうか? その答えは私にはまったくわかりません。

さて,大学院に進学してからは,学会の原稿を届けに行ったり,本郷にときどき通うようになりました。いまのように pdf ファイルを電子メールで投稿できるような便利な時代ではなかったので,郵送で間に合わない場合には,直接学会に原稿を持参したものでした。いまから思うと,学会が本郷に移転した当初から,私は SICE 事務局に通っていたことになります。

1990年に32歳で SICE 論文集編集委員を仰せつかってからは,事業委員,会誌編集委員,理事,制御部門長,論文集エディタ,あるいは SICE 主催の講習会の講師など,SICE のいろいろな役職を経験しました。そして,数えきれないほどこの事務局に通いました。

いまでも鮮明に覚えているのは,最初に論文集編集委員になったときには,月に1回学会会議室で開かれる編集委員会では,途中でケーキとコーヒーが近くの喫茶店から配達されたことでした。ペットボトルのお茶を持参するいまの時代ではとても考えられないことですが,優雅に学会活動を行える時代でした。ケーキを食べながら,普段はお話しできないような偉い先生方のお話を伺うことはとても楽しみなことでした。

その思い出深い学会事務局が移転すると聞いたので,名残を惜しんで事務局を訪問し,いろいろ写真を撮ってきました。

無理を言って,学会事務局の方の集合写真を撮ってきました。ここに写っているほとんどの方と私は仕事をさせていただきました。

なお,10月17日に新事務所が地下鉄丸の内線「淡路町駅」近くにオープンするそうです。

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コメント

  • 足立先生、先日はご来訪ありがとうございました。
    何もお構いできずに失礼いたしました。
    今度ゆっくり思い出話を聞かせていただければ幸いです。

    2016年09月20日 8:36 AM | 井端一雅