NHK朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」とてもよい。最近の朝の連ドラのなかでもダントツによい。脚本,出演者(特に脇役),そして音楽がよい。


今週のテーマは,うそつきの「砲勇助(てっぽうゆうすけ)」だった。うそばかりついていて,千の話をしたら三つしか本当がないので「千三屋(せんみつや)」と呼ばれている。1000回のうちの3回というのは,統計学における正規分布の3シグマ範囲(シグマは標準偏差)に対応する点が興味深かった。こんなことは上方落語と統計学の両方を知っている人だったら周知の事実かもしれないが,私にとっては新鮮だった。受験生が一喜一憂する偏差値は正規分布に基づいているが,この偏差値を使って3シグマ範囲を説明すると,偏差値が80以上と20以下の人の合計は,1000人中3人しかいないということである。したがって,ほとんどの人(すなわち,1000人中997人)は偏差値が20から80の範囲に入っている。そのため,3シグマ範囲に入っているとは,「事実上すべての」という意味で使われることが多い。ちなみに,偏差値が70以上と30以下の人の合計は1000人中45人である。偏差値70以上をとること(あるいは30以下をとること)はとても難しいことがわかるだろう。

正規分布とは normal distribution の訳語であり,もともとは「ふつうの分布」という意味である。日常生活や自然界に存在するものの分布は,正規分布というふつうの分布にしたがっていることからこのように命名された。落語も庶民の生活から生まれてきたものであろう。それらの共通点のひとつが「せんみつや」なのだろう。

正規分布のヒストグラム

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