講演者
宮下 尚 博士(日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所)
講演日時
2013年1月12日(土) 16:00~17:30
講演場所
創想館4階 DS43 + 44
講演概要
計算機科学(Computer Science)は Alan Turing が計算機の抽象モデルとなる Turing Machine を提案したときに産声を上げた分野である。現在動いているほぼすべての計算機はこの抽象モデルにしたがって動作しており,このモデルは理論的に計算可能な領域を理解するために非常に重要な役割を果たしている。一方で、Alonzo Church が提唱したラムダ算法は,Turing Machine と同一の計算能力を持つことが証明されているが,数学としての記述および計算の本質を人間が理解できる 「言語」 として計算機をモデル化することに成功し,LISP や Java, C++ といった多くのプログラミング言語がこの理論をもとに設計されている。 制御理論およびシステム同定は数学モデルとして対象を再現できるモデルを構築するための学問領域として,発展を遂げた。製品としての要求から必要十分な対象についての理解をするための手法であるが、現代の製品においては、物理現象の利用(メカ,エレキ),計算機の利用(ソフト)の高度な融合が欠かせないものとなっているため,情報処理が,システム同定においてモデルとして考慮しなくてはいけない領域として,非常に重要になってきていると我々は考えている。 このように,対象を理解することに対して,その本質を的確に表現するための手法であるモデリングは,物理学,工学,情報科学といった,多くの学問領域で益々重要性を増している。そして,計算機科学とシステム同定は,モデルを通じて工学と情報科学を結ぶうえで大きな鍵を握っていると予想される。 今回は,導入も含めて,我々が挑戦している 「ものづくりにおける情報の記述(いわゆるモデリング)」 をご紹介し,どのように計算機科学とシステム同定が重要性を増していくかという将来の展望も踏まえてお話ししたい。
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