講演者
堀 豊 博士(Department of Computing and Mathematical Sciences at Caltech)
講演日時
2016年3月30日(水)15:00~16:30
講演場所
創想館2階 ディスカッションルーム7(DR7)
講演概要
遺伝子工学技術の発展に伴い,微生物中の生化学反応ネットワークを人工的に設計・調整することが可能となり,振動子や双安定性などの望みの動特性を持つ「遺伝子回路」を細胞中に実装することが可能となりつつある.特に,遺伝子回路が大規模かつ複雑になるにつれ,数理モデルに基づく動特性の解析や設計の重要性は近年ますます高まっている.  本講演では,遺伝子回路のモデル化・解析・設計を体系的に行うためのフィードバック制御理論,および実装を効率化するためのプロトタイプ実験環境について述べる.まず,遺伝子回路の非線形ダイナミクスがLur’e型のある非線形フィードバックシステムとしてモデル化可能であることを示し,つぎに,システムの構造を用いることで,安定性解析,ロバスト安定性解析および周期振動の解析を系統的に可能とする理論ツールを導く.これらの理論ツールを用いることで,振動子回路の解析を行い,振動の存在条件および振動周期と反応設計パラメタの関係を理論的に明らかにする.また,理論的解析の結果に基づき,遺伝子回路のプロトタイプを実際に作成し,設計パラメタを変化させることで振動周期が理論で予測された通りに調整可能であることを示す.無細胞タンパク質合成系とマイクロ流体系を用いた遺伝子回路の高速プロトタイプ実験環境についても手短に紹介する.
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