講演者
佐野 昭 先生(慶應義塾大学 名誉教授)
講演日時
2009年6月15日(月) 16:30~18:00
講演場所
創想館2F DR9
講演概要
摩擦特性やヒステリシス特性などの非線形ダイナミクスは、未知パラメータを非線形に含むため、実時間での同定、予測および制御のためのアルゴリズムの導出 や実行が極めて困難となる。本発表では、非線形モデルのパラメータを線形化表現にすることにより、適応補償が簡略化できることを幾つかの事例を通して説明する。例えば、General Maxwell Slipモデルは、非線形摩擦現象を最も忠実に記述するモデルの一つであるが、パラメータを線形化表現することにより、非線形摩擦を補償した適応位置制御 を簡単に実現できること、全系の安定性についても解析できることが示せる。また、セミアクティブ免振制御で利用が期待されるMRダンパに関しても、パラ メータの線形化表現を導入することにより減衰力の予測や適応補償が簡単に実現できる。またパラレル・ハマーシュタイン型非線形モデルについても容易に適応 フィードフォワード補償が可能となる。従来型の非線形Filtered-xアルゴリズムに代わって、安 定性を保証した新しい非線形Filtered-xアルゴリズムも導出でき、信号処理分野でも将来役立つと思われる。これらの事例の中で、数値シミュレー ションや制御実験を通して、提案手法の有効性について検討した結果を述べる。
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