Laboratory Profile

2013年度 物理情報工学科 足立研究室

教職員 足立 修一 教授(adachi[at]appi.keio.ac.jp),斉藤 由美 秘書
研究室の場所 足立教員室(25-518),プロジェクトルーム(創想館4階,14-417),学生居室(25-504 ), 実験室(25-522)
研究室の構成 訪問研究員(2名),博士3年(1名),博士1年(1名),修士2年(6名),修士1年(6名),学部4年(5名)の計21名
研究のキーワード システム制御理論,システム同定理論,産業応用(自動車,航空宇宙,精密機器,音響,電力ネットワーク,ロボットなど),制御教育
写真 小野さんランチ(2013.5.1) 導入実験発表会(2013.5.14) 足立研2013
研究室紹介ポスター 研究室紹介2012

研究室について

慶應義塾大学足立研究室は8年目に入りました。昨年度大活躍してくれた小野雅裕助教は再び米国にわたって NASA JPL/Caltech に異動されました。小野さんは慶大を離れてしまいましたが,私としては NASA に足立研出張所ができたと勝手に解釈しています。小野さんに面倒を見ていただいた足立研学生(5~6名)は,小野さんのご好意で引き続いて指導していただける予定です。また,京都大学の丸田一郎助教には昨年に引き続いて,訪問研究員としていくつかの研究に関わっていただき,足立研学生の指導もしていただける予定です。

足立研2期生の室井秀夫君(リコー)が社会人ドクターとして,足立研にカムバックしたことも大きなニュースです。室井君は慶大足立研が誕生した当時,システム同定理論研究の中心的な立場として活躍してくれましたが,再び彼が足立研に加わることは足立研学生にとってうれしいニュースです。

学生数は昨年より1名増えて19名(うち大学院生は14名で,M2の橋本君は現在,スウェーデン KTH に留学中)で,相変わらず大人数の状態が続いています。 しかし,足立研学生はみな優秀なので,人数が多いことは欠点ではなく,さまざまな研究が行えるため大きなアドバンテージになっています。新たに足立研に加わった学部4年生5名のうち3名が女子学生というのも,足立研始まって以来の出来事です。しかし,男女関係なく,学部4年生はみな元気でやる気満々です。足立研究室のメンバーは仲が良いことが特徴で,これは素晴らしいことだと思っています。

企業との共同研究も順調で,今年度は7社以上の企業(自動車,精密機器,航空宇宙,放送,情報システムなど)との共同研究が実施される予定です。今年度も 創想館のプロジェクトルームから多数の研究成果が出ることを期待しています。 昨年度は修士5名,学部1名が足立研から社会に巣立って行きました。修士修了生は,総合電機メーカ,IT企業,自動車など,さまざまな業種に就職していきました。

研究室案内

足立研究室では「モデリングと制御」 (modeling and control) に関する研究を行っています。制御とは,対象のダイナミクス(動き,動特性,動力学)を望みどおりにアクティブに変化させるもので,われわれの日常生活のさまざまな場面で制御は大活躍しています。たとえば,部屋の室温をエアコンで調節することも制御ですし,ロボットの中にも制御の考え方はたくさん入ってい ます。また,最近の自動車は電子制御の力なしでは動くことができないでしょう。制御理論とは,日常生活で何気なく利用している制御の考え方を一般的に体系化した学問のことです。制御理論を適用するためには,対象のモデリングが必要不可欠であり,本研究室では実験データに基づいた有力なモデリング法であるシステム同定,そしてモデルに基づいた有力な状態推定法であるカルマンフィルタについても精力的に研究しています。 主な理論研究テーマを以下に列挙します。

  1. システム同定理論と時系列解析
    1. 連続時間システム同定法
    2. プロセス制御のための実用的なシステム同定理論
    3. 時系列解析
  2. 非線形・非ガウシアン最適フィルタリング理論(状態推定問題)
    1. Unscented Kalman filter (UKF)
    2. カルマンフィルタ理論の実用化検討
  3. 制御系設計理論 モデル予測制御 (Model Predictive Control),ロバスト制御
さまざまな対象に対して制御理論を適用できますが,本研究室では以下に示すテーマを通して制御理論の研究を進めています。
  1. 自動車(企業共同研究)
    1. 自動車エンジンのモデリングと制御
    2. リチウムイオン二次電池の状態推定
    3. 自動車車室内のアクティブノイズコントロール
  2. 航空・宇宙 (企業共同研究など)
  3. 精密機器のモデリングと制御 (企業共同研究)
  4. 音響系の多変数システム同定 (研究所共同研究)
  5. 電力ネットワーク (学内外共同研究など)
  6. 大量データを用いたシステム同定の産業応用
  7. ロボット制御実験教材の製作
  8. ・・・ ・・・ ・・・ (新しいことが何か始まるかも...)
企業との共同研究では,最新の実験装置を用いて制御理論/システム同定理論/状態推定理論の産業応用研究を行っています。また,学内外の著名な研究者との共同研究も積極的に行っています。

足立研セミナー

学内外から講師の先生をお招きして,最新の研究成果に関するセミナーを不定期に開催しています。制御理論の周辺分野の最新の動向を得ることができます。なお,このセミナーには参加自由です。参加希望者は事前に連絡してください。